東京電力福島第1原発の処理水放出を受け、中国が日本の水産物輸入を全面停止し、道内の水産加工会社が危機感を強めている。
道内からの輸出額が最も多いホタテは、水揚げの3分の1以上が中国向けで、大量の在庫を抱える企業も出始めた。保管料がかさむ上、輸出を前提に設備投資を進めていた企業もあり、関係者からは「このままでは倒産が相次ぐ」との声が漏れる。
道は29日に、道漁連などと協議会を立ち上げ、対応を急ぐ構えだ。
北海道新聞
このニュースから改めて実感したことは、海産物に限らず国内市場がいかに縮小傾向に陥っているかということ。更に世界でひとり負けの円安で、原材料の高騰でコストの上昇に歯止めが掛かる気配もない。
政府が推進する観光立国というのも、可処分所得が減り続ける日本の国民相手ではジリ貧に陥るのが目に見えているからに他ならならない。
なので今回の中国による措置は、たとえあちら側の反応が、どんなに非科学的で根拠に乏しいモノだったとしても、こうなることは当初から予想出来たことなのだから、事前に他の販路を確保するなどの対策を講じておくべきだったと言える。
そもそも、トリチウム云々は論点のすり替えで、他国ではトリチウム以外にも汚染物質を除去できてない事を問題にしているということを忘れてはならない。
なのでわれわれ国民からすれば、本当に政府が発表していることを鵜呑みにしていいのかと…単純に他国の過剰反応にすぎないと決めつけることも、やや早計ではないだろうか。
なぜならわれわれは、血液製剤の薬害エイズの件にしても、日本の原発や、コロナ禍におけるワクチンの安全性についても、必ず後になってから問題が露見するという結果を何度も見せつけられてきたではないか?そんなふうに平気で真実を隠蔽するような政府を本当に信じられるものだろうか。
そして、今回行き場を失ったホタテの在庫にしても、安く国内に流通すればいいという単純な話ではないだろう。
そもそも以前から指摘されてきたように、国内消費が落ち込み、上昇するコストを価格に転嫁できないデフレが漁民や水産加工業者を追い込んでいたのだから、今回の問題において何の非もない漁業関係者だけが損害を被るなんてあってはならないだろう。
これは東電や政府が責任を持って対処するべき問題であって、漁業関係者に理不尽な負担を強いるのは見当違いなのだ。
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