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IHARA

きっかけは

今回IHARAに訪問するきっかけとなったのは、あの超人気でなかなか予約の取れないヴィラ・サントリーニというホテルに泊まってみたいと思ったことからです。

以前から、いつか四国に行かねばと思っていましたが、わたしにとって、「ここにどうしても行きたい」と思わせるあと一押しが足りませんでした。

そうこうしている間に、風の噂でこのホテルのメインダイニングのシェフが最近変わったこと、そしてそこから独立されたシェフが高知市内にお店を開業したことを知る所となりました。

まず最初は、ヴィラ・サントリーニの予約をおさえました。しかしその時点で、1番下のカテゴリーの部屋しか空いておらず、ルームサービスもなく、酒類の持ち込みも有料、周りにはコンビニもなく、メインダイニングは予約制でコースのみというなんとも強気な設定でした。

ならば高知市内のIHARAでディナーをして、ヴィラは朝食付きの宿泊にすればいいかと考えました。それで、IHARAのInstagramのダイレクトメールで予約が取れるか確認してみたところ先日の記事のようなシェフとのやり取りがありました。

ということで食べることと飲むことがプライオリティなわたしたちは、何の迷いもなくIHARAで食事をする為にスケジュールを組むことにしました。

IHARA

まずエントランスからしてオーナーシェフのセンスがそこはかとなく感じられます。

お店の扉を開くと石畳があり進んでいくと靴を脱いで小さな扉から少し屈んで店内に入ります。

この感覚は、、、茶室における”にじり口”を彷彿とさせます。

この方式を茶室に取り入れたのはあの千利休。茶は武士や町人たちの嗜みでもあり、重要な社交の場でもありました。しかし茶室に入ればどんな人物であろうと平等である。という千利休の茶の湯の精神から、にじり口の寸法がこんなに小さくなったようです。

おそらくIHARAさんも同じような意図でこのような入口を作ったのではないでしょうか。

そして店内は一枚板の大きなカウンターがあり、床は畳になっていました。

オープンキッチンもピカピカです。画像や動画は全て許可を取って撮影しています。

食器やカトラリーも全て特注品だとか。とくに器は地元の窯元に全て製作を依頼したそうです。

食べるのが勿体ないぐらい美しいアミューズの数々。

もうどれもこれも、お酒の肴にはうってつけ。これはボトル入れるしかありませんことよ。

このいくらに似たぷちぷちは、アマゴの卵のもなかです。アマゴの卵といえば、あの黄金いくらという名でメディアでも紹介されていた逸品です。今までこんなにいくらを美味しいと思ったことはないぐらい見た目以上に濃厚なお味でした。

ちなみにこの日は他に1組いらしてまして、その方の声も1部入っていたようです。

うにのフラン、つまりうにを使った洋風茶碗蒸しです。

うにのフラン

実はもともと、うには好きではありませんでした。しかし、北海道の小樽の政寿司でウニを頂いてからその美味しさに目覚めました。

わたしがそんな話をしたら、井原さんも似たような経験をされたとか。

こちらは地元・高知の食材がほとんどですが、この雲丹だけは例外で、築地のお知り合いの方からお取り寄せしているそうです。

高知の旅を決めた時、あるブロガーさんから是非にとお勧めされたのがこの”うつぼ”でした。

うつぼのフリット

しかし、うつぼをフリットで頂くことになるとは思いませんでした。しかもこういった調理法を惜しげなく教えてくださるのです。イタリアのシェフがそうであるように、これはよほどご自身の腕に自信がなければ出来ないことです。

そしてあかうしのトリッパと松茸と皮付き里芋をお出汁で頂きました。里芋の皮がこれほど美味しいことを初めて知りました。これから我が家でも収穫を迎えるのでこれは皮付きで味わってみたいと思いました。

あかうしのトリッパと里芋をお出汁で

チェイサーで頂いたお水は、ダバダ火振で有名な無手無冠さんの仕込み水でした。水ひとつとっても並々ならぬこだわりが感じられます。

チェイサーは仕込み水

お魚のメインはむつでした。

何から何まで美しすぎて、どこぞの知ったかぶりな食通ごときでは、手も足も出ないぐらいの手間暇がかかっていました。

とにかくあーでもない、こーでもないなどと言わせる隙の無い料理の数々。

エル・ブジとアドリア兄弟

そして、井原シェフの口から、あのエル・ブジの名前が飛び出した時には、やはりと思いました。

エル・ブジとは、、、スペインのカタルーニャ州のロザスにあった三つ星レストラン。イギリスの雑誌『レストラン』において5度の世界一のレストランに選ばれており、約50席しかないシートに世界中から年間200万件もの予約希望が殺到し、「世界一予約が取れないレストラン」と呼ばれていました。料理長はフェラン・アドリア。

このレストラン最後の日の模様は映画になりました。

『エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン』

わたしが、フェランの弟、アドリアのお店Tickets で料理を食べたことがあるのですよと言ったらとても羨ましがられました。

コースの続き

はい、ここからは赤に切り替えて、メインを堪能いたしましょう。

土佐あかうし

以前、恵比寿のピーター・ルーガーで食事をしたことがあります。日本人なので魚介類の美味しさは知っていますが、やはりビーフ、特に赤身のお肉が一番好きです。

しかし今回の土佐あかうしは、あのTボーンステーキの重量感に勝るとも劣らないぐらいのお肉の旨味と甘味に溢れていました。

そして、ここにもう一つ、世界一の塩職人と言われる田野屋塩次郎さんの塩がプレートの左側に鎮座しております。こちらの塩は完全オーダーメイドのお塩でして、モノによっては三年待ちにもなる貴重な逸品なのです。

今まで生きていてよかった

そう思わせてくれる料理に出会えたことに心の底から感動いたしました。

食で人を感動させることが出来る井原さん。とてもお若く、しかもメディアでお見かけする彼の写真より、実際はもっとイケメンさんです。

さてこの食の宴にはまだ続きがあります。

こちら土鍋で、四万十の仁井田米を鶏と貝の出汁で炊いたおこげつきご飯です。これを山羊肉のハヤシライスで頂きます。この山羊の生産者は廃業してしまったので、こちらのお肉はもう二度と頂くことは出来なくなります。まさに一生に一度の味に出会いました。

そしてデザートは、パンナコッタにシャインマスカット、ライムのメレンゲを添え、ホワイトチョコレートとココナッツオイルを粉末にしたものが添えられました。

高知産蜜芋のバスクチーズケーキと土佐ほうじ茶。

ほのかに漂うシナモンの香りと、香ばしいほうじ茶のマリアージュを堪能いたしました。

編集後記

こちらのコースのお値段は15000円になりますが、これだけの素材を使っているので正直これで利益が出るのかと心配になるぐらいです。なのでしっかりお酒も頂いちゃいました。

井原さん情報によると、神奈川県から月一で通って来られるお客さんがいらっしゃるのだとか。

他にもいろいろなお話をさせて頂きましたが、料理の腕前も素晴らしいですが、ひとりの人間として、その志の高さに感銘いたしました。

と同時に、わたし自身も食を愛する者として、こちらで味わった素材や料理の記憶を忘れずに、大切な宝物として持ち続けたいです。

これから作る料理についても、主婦だから、不器用だから、忙しいからなどという言い訳をせずに、今まで以上に真摯に取り組んでいきたいと思いました。

シェフの説明を聞いてちんぷんかんぷんなどということでは、食べる側としても申し訳ないことになってしまいますので、わたし自身も精進しなければ。

そしていつか、ママ友か息子かその彼女とまたここに来てみたいです。

そして最後に、予約の段階からいろいろアドバイスを下さり、最初から最後まで夢のような時間を与えて下さったIHARAさんには、本当に感謝しかありません。

またいずれ訪れる日まで。

ごきげんよう。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。

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