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【話題のスポット】行ってきた!!DIC川村記念美術館

ロスコ・ルームとは?

わたしが、“いつか訪れてみたい“と思っていたDIC川村記念美術館が、2025年1月下旬に休館することになった。そのニュースが発表された8月27日以降、同館が立地する千葉県佐倉市が、佐倉市での存続を求める署名を発表、来館者が一気に増えるなどして、今やちょっとした話題のスポットとなっている。

さて、このDIC川村記念美術館の一体何がすごいのか。見どころは多々あれど、なんといっても、ロスコ・ルームを抜きにして、この美術館を語ることは出来ないだろう。

この“ロスコの作品のみで構築された展示空間“は、DIC川村記念美術館のロスコ・ルームのほか、ロンドンのテート・モダンヒューストンのロスコ・チャペルを含め、壁画シリーズによるロスコ空間を体験できるのは、世界で僅か3箇所しかない。これは、まさにアートの世界において“人類の至宝“とも言うべき展示物なのだ。

だが、そもそもモネ、シャガール、ピカソの名前とその作品ぐらいは知っていても、マーク・ロスコともなるとかなりマニアックな抽象表現主義の代表的な作家の1人にすぎず、まして“アート後進国“な日本おいては、正直あまり知られていないのが現状である。

実は2年ほど前、わたしが自らのブログで彼のアートについて取り上げたことがあったのだけれど、ほとんど見向きもされていなかった(^_^;)

なので、いま話題になっているからと言って、映え目的とか、軽い気持ちで観に行っても、おそらく得られるものは少ない。そういう人は、佐倉の道の駅にでも寄って千葉県特産の落花生のお菓子でも買って帰ったほうがむしろ幸せになれそうな気がする。

実際某サイトの口コミなどを見ると、

絵画は数点を除き、バブル期に買い漁った(画商に騙された?)ような感じで、センスが悪いこと以外統一感は感じられなかった。売りのロスコもデカい=高いだけの切れ味の無い作品ばかり、新幹線で東京まで行き高いバス代払い佐倉まで行ったが、一時間経たずに退散、成田空港で飛行機を見ながらビールを飲んでいました。経営の刷新で変わることを期待しています。

などとロスコ・ルームの絵画と展示空間にいる自身そのものが作品の一部になっているというロスコの意図すら理解出来ず、ただ上っ面だけしか見ていない鑑賞者も少なからずいることは想像に難くない。

そもそもアート鑑賞とは、まずは「愉しみ」として、好奇心に目を輝かせて作品と向き合うものである。そして、ロスコ・ルームのなかで自分は何を感じ取るか。それがアートとつき合っていく第一歩である。

DIC川村記念美術館の「ロスコ・ルーム」 撮影:渡邉修
©️1998 Kate Prizel & Christopher Rothko / ARS New York / JASPAR,Tokyo C3036

少し照明が落とされた部屋に、7点の大きな絵が鑑賞者を取り囲むように並べられている。絵はそれぞれ幅3~4m×高さ2m半ほどもある大作で、暗赤色の地に赤や黒、オレンジで門あるいは窓枠のようなものが描かれている。具象画ではなく抽象画なので、意味はよくわからない。実際にこの場にいて何を感じるかはそれぞれの人に委ねられる。

よく耳にするのは、「ここにいると心が落ち着く」といった感想である。やや暗めの空間となっているため、まるで深い海の底のような静かで厳かな雰囲気が感じられ、そこに不思議な絵があることで、一種、瞑想的な感覚に陥る人が多いという。実際、ロスコの作品は「瞑想する絵画」といわれることもある。ロスコ・ルームでの体験はとても言葉では説明し切れないものがあるので、百聞は一見にしかずではないが、一度自身で体感してもらうしかない。

もちろん、抽象画など理解出来ないから面白くないと思う人がいても当然であるが、そこを乗り越えて理解を深めていくことでまた違った世界が見えてくることもある。

21世紀を生きるわたしたちにとって「人はパンのみに生きるにあらず」で、一般教養として、歴史や芸術の話題に触れることが、物質的満足だけでなく精神的満足・充実をもたらすコトに繋がるのではないだろうか。

ひとは歳を重ねていく毎に、外見や体力の衰えに贖うことは出来なくなっていく。しかし唯一持続し蓄積していくことが出来るのが『教養』であり、その器としての『品性』であると思っている。

DIC川村記念美術館

前置きが長くなったが先日、じいと娘①と孫の4人で千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館に行ってきた。平日家族で車に乗って遠出をするのは、本当に久しぶりだった。

それにしても、今週はイベントが目白押しで、日曜の新栗祭りに始まって、孫の誕生日、オオゼキとルーシーグレイへのお買い物、そして、車で千葉の美術館へ遠征と、近年になく忙しい1週間となった。と、実はもうひとつ予定があるので、きょうさん、出掛けすぎかも(*´ω`*)

でもちゃんと出掛ける前にお庭のお手入れもしているので、ただ遊び回っているわけじゃないのよ。

この日は朝からあいにくの雨模様だったが、決してわたしたち家族の日頃のおこないが悪いなどとは思っていない。むしろ雨が降っていたお陰で、多少なりとも混雑が緩和されて良かったと思っている。

駐車場から美術館へ向かう林道の入り口にある銅像。これ、日本の彫刻家の第一人者として知られる佐藤忠良氏の作品。

佐藤忠良 :『緑』 

正面玄関左手に設置された本作品は、美術館の依頼によって制作された作品である。『地形をどうやって活かして自分のフォルムを納めるか』という点から構想され、建物の壁面と平行して流れる小川との間の狭い斜面が選ばれた。

清水九兵衛 : 朱甲面

美術館の入り口にそびえ立つこの作品は、1991年に初来日したフランク・ステラが発案し、美術館のために特別制作したもの。

フランク・ステラ : リュネヴィル

一見するとスクラップの塊のようだが、実は、さまざまな手法の鋳造による49ものパーツから構成されている。

残念ながら、館内の作品は全て撮影不可となっているが、以下のような日本でもよく知られている画家の作品を間近で観ることが出来る。美術ファンであるなら休館前に是非いちどは訪れるべきであろう。

レンブラント・ファン・レイン : 広つば帽を被った男
ピエール・オーギュースト・ルノワール ; 水浴する女
クロード・モネ : 睡蓮

ロスコ・ルームは別格だが、わたしが今回観た作品の中で一番気に入ったのが、このシャガールの作品である。

こちらは、日本国内のシャガールの油彩としては最大のもの。“ダヴィデ王“は、旧約聖書で、ゴリアテを倒したり、イスラエルの民を救った英雄である。

マルク・シャガール : ダヴィデ王の夢

“ダヴィデ王“って、あのイタリアのフィレンツェにあるミケランジェロのダヴィデ像と同一人物で、実際に見ると高さが5メートルもある巨大な像なので、教科書の写真のイメージよりも、ずっと迫力がある。

ダビデ像の手入れをするアカデミア美術館の保存修復士エレオノーラ・プッチ=2022年11月21日、フィレンツェ、Chiara Negrello/©The New York Times

そして、現在行われている企画展は、ドイツを拠点に活動する西川勝人氏による『静寂の響き』

本展は、1980年代より現在まで、一定して“静けさ“という特質を保持し続ける西川作品の美学に触れる日本初の回顧展である。

こちらは美術手帖よりお借りした画像。

西川勝人 : フィザリス

彫刻、写真、絵画、ドローイング、インスタレーション、建築的構造物の約70点が、作家自身の構成によって展示されている。

こちらの展示風景奥に見えるのが、本展の表題にもなっている『静寂の響き』である。

ここからは庭園の風景。

深い緑の庭園の中でひときわ存在感をはなつ“フヨウの花“

フヨウは夏を代表する花木の一つ。寒さにもやや強い半耐寒性で、関東地方以西の平野部であれば庭植えでも越冬可能。ピンクや白色の大輪の花を咲かせ、とても華やかな印象。朝に咲いた花は夕方には萎むが、新しい花が次々に咲き開花時期が長いため長期間楽しめる花である。

曇りや雨の日でもこれはこれでまた趣きが感じられる。これから秋の深まりと共に紅葉していく様を想像するのも面白い。

この見事に手入れされた庭を見るにつけ、出来れば国が税金を投入し維持していってくれることを願うばかりだ。

こちらは庭園の奥にある休憩スペース。

印象派の色と光の移ろい、キュビスムやフォービズム、レンブラントの明暗対比、そしてマーク・ロスコや現代アートに連なる面々。

庭園を歩けば、環境とアートの相互作用が優しい光のように降り注いでくる。

作品がコレクションという環境の中でいかに輝くか、また、コレクターの世界観と作品の世界観が共鳴する瞬間に立ちあえるという“幸福感“に包まれて歩く。

自然の中にあって、もはや自然と一体化している作品にパワーを貰いながら…植栽の個性的なシルエットや池泉式の水の溜まりにも、そこかしこにコレクターのこだわりや美意識が感じられるとても素敵な美術館。

作品を観て感じて、さらに畳みかけるように、素晴らしく広大な庭園散策の余韻に浸りながら帰路に着く。

夕暮れ時にはすっかり雨もあがり、ベイブリッジから見える空の色は、幾重にもグラデーション架かって美しいことこの上ない。

こんな稀有な機会を与えてくれた“じい“には、流石に感謝するしかないだろう(。-_-。)

ただ強いて言うなら、もう少しゆっくりしていたかったけれど。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。

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