花は散るからこそ美しい
能の魅力を花にたとえた世阿弥の能楽論『風姿花伝』。その第7巻「別紙口伝」の一節。
いづれの花か、散らで残るべき。散るゆゑによりて、咲く頃あればめづらしきなり。
(散らない花などなく、散るからこそ咲いたときに美しさを感じられるのだ。)
日々、花を愛で大切に育てていると、いつもこの一節が頭に浮かんできます。
そう…花は散るからこそ美しいのです。
たまに、いつまでも散らないからなどとフェイクフラワーを部屋に飾られている方などもいらっしゃいます。でもそうすると、いつまでも花は咲き続ける代わりに、季節の移り変わりを感じることが出来ないなぁと思うことがあります。
5月は園芸を楽しむ者にとっては一番忙しくも嬉しい季節。そろそろ秋冬から咲いていた草花たちが終わりを迎えるも、夏に向かって咲く花たちをお迎えしたり、春に花を咲かせた草花や樹木たちが実を結ぶお手伝いをしたりなど…日の出と共に目覚め、日が暮れるまで庭にいたとしても、もういろいろと気になって仕方がないくらいやるべきことが次から次へと浮かんでくるのです。
クレマチスの鉢植え
今朝は、昨日雨で出来なかったクレマチス4鉢の植え付けをしました。先月頼んだ福袋の苗たちです。向かって左側2種が旧枝咲きで、右側2種が新旧枝咲きの品種でした。
土は市販の培養土に再生赤玉、クレマチス専用肥料、コンポスト堆肥、虫除けのオルトランを混ぜたものを使いました。最後にこれからの季節は特にナメクジの被害が心配なので、鉢の表面にナメクジ対策の薬を撒きました。
これを事前に用意していた6号のスリット鉢にミニトレリスをつけてそれぞれ植え替えました。
野菜苗たち
そのあと、野菜苗の植え付けもしました。今回はいちごを除いて地植えしました。
そして今朝はとうとうブラックベリーの花が咲きました。
そしてなんと、ウリハムシ除けの袋をかけていたきゅうりに一番果が出来ていました。
怒涛の植え替え
ここ数日、雨の日以外は怒涛の植え替え作業の連続でした。ガーデンシクラメンを夏越え用に掘り出したあとに、ケイトウをお迎えしました。こちらはヒゲナデシコの赤。
同じタネから色違いも咲き始めました。タネからは予想もつかない色の花が咲くことがあるのも楽しみのひとつです。
そして今年は、自分が好きな色合いのダリアとハイビスカスをお迎えしてみました。
少し調子を崩していたピンクのミニ薔薇もやっと綺麗に咲き始めました。今わが家に鉢植えのミニ薔薇は3鉢ありますが、わたしはこの優しいピンク色の花が一番お気に入りです。
そして今年もキバナフジ(キングサリ)が咲く季節がやってきました。
まだ咲いてはいませんが、先日鉢に植え付けたペピーノの花蕾がついてきました。ところで、この鉢から大きな双葉が育ってきました。おそらくこれはかぼちゃなのでは?と思うので、このあとポットに移植して経過観察しようと思っています。
花は散るからこそ美しい。と同時に花が咲き、タネが作られなければ、わたしたちは次の世代の花たちを見ることも出来ません。
そして、世阿弥はこんなことも言っています。
時分の花をまことの花と知る心が、真実の花になお遠ざかる心なり。
(一時的な魅力『時分の花』に自分を見失っていては、 後に本当の魅力『まことの花』を手にするのは難しいだろう。)
花と同じように、人もまた老いから逃れることは出来ません。しかし、常に初心を忘れず精進し続ければ、色褪せない『まことの花』の境地にも辿り着けるかもしれません。
コメント