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【天空の城ラピュタのモデル!?】ベン・メリアに行ってみた

遺跡巡り2日目

遺跡巡り2日目です。今朝は6時半ピックアップ。昨日の4時半を思えばなんてことはないわと言いたいところですが、日本出発から連日早朝から深夜まで動き回っているので、50代半ばと還暦おばさんペアにはなかなかの試練でございます。

そう言えば今日のツアーも昨日と同じエージェントだったので、もしかしてと思っていたら、やはりガイドさんは昨日お世話になった方でした。でも今日は長距離の移動になるので車と運転手さんは別の方でした。そして今回は結構マニアックなツアーなので、わたしたち2人貸切状態でした。

さて本日最初の目的地のベン・メリア。ここは昨日訪れたアンコール・ワットから東へ直線距離で約50kmのところにあり、わたしたちが到着した新空港もこの近くで、シェムリアップの中心地からは車で1時間から1時間半近く掛かります。

ということで本日は、昨日と違って観光の合間に朝食を摂りに戻ることも出来ないのでホテルで朝食BOXを用意してもらいました。

以前どこかの国の某ホテルで同様の手配をしたことがあるのですが、その時はめちゃ簡素な内容で、ジュースとりんごとクロワッサンぐらいだったのですが、さすがにそこはパークハイアット。淹れたての美味しいコーヒーとグァバジュース(紅茶や他のジュースも選べる)りんごとモンキーバナナ、バインミー(3種類から選べる)と、クロワッサンとデニッシュというかなり至れり尽くせりの内容でした。

わたしはとりあえず温かいコーヒーを飲んだだけで気分が上がり、バインミーもルッコラなどちょっと洒落た野菜が入っていたりして、朝からめちゃくちゃヘルシーな食事をした感がありました。しかも、ほぼ貸切りの車内で誰に気兼ねすることなくですから、もうテンション上がりまくりでした。

パークハイアットシェムリアップの朝食BOX

優雅な朝食を終え寛いでいる間に、あっという間に目的地が近づいてきました。

ベン・メリア

ベン・メリアはアンコールワット遺跡群の一つで、ヒンドゥー教の寺院です。遺跡の損傷が激しく寺院の大部分は廃墟となっており、地理的にも不便な場所にあることから訪れる観光客はそれほど多くはありませんが、現地を案内するカンボジア人の日本語ガイドが必ずベン・メリアを紹介する際に使う説明が「天空のラピュタのモデルになった場所」ということで知られています。

たしかに人気のない建物に草が生い茂った様子は映画に出てくる「天空の城」を彷彿とさせ、ラピュタのロボット兵が出てきてもおかしくないような雰囲気でもあります。そうしたことで現地のガイドから「ラピュタはここがモデルです」と説明を受けると思わず信じてしまいそうになりますが、実際にスタジオジブリに確かめた人の話によると、「まったくの嘘です」と明確に否定されたのだとか。また宮崎駿監督がベン・メリアを訪れたこともないそうです。ジブリによると、ベン・メリア以外にも多くの観光地が「ラピュタのモデルになった場所」と宣伝しているということですが、 ラピュタは完全に空想から生まれた場所でモデルになったという実際の場所はないとのことでした。

実際『天空の城ラピュタ』が公開されたのは1986年ですが、ベンメリアに外国人が立ち入れるようになったのが2001年。なので「ラピュタ」の製作当時に宮崎監督がベン・メリアを訪れることはもちろんのこと、写真を入手することすら不可能だったと思われます。

ベン・メリアは、『花束の池』という意味をもち、三重の回廊、十字形の中庭などの伽藍配置を取り、規模は少し小さくなりますがアンコール・ワットとの類似点が多く、東のアンコールとも呼ばれています。

こちらのナーガはアンコール遺跡群の中でも最も美しいもののひとつに挙げられています。

ベン・メリアのナーガ

深い森の中に埋もれた遺跡は崩壊が進み、歩ける範囲が限られています。そのため見学する際には、遺跡上に組まれた木の歩道を歩くのが通例となっていますが、崩壊して山のようになった部分が苔むしている様子や光の届かない回廊の中を歩き回るような場所があったり、作りモノではないリアルな探検気分を感じることが出来ます。

この光景は昨日観たタ・プロームを彷彿とさせる部分もありますが、あちらがまるで生きているかのようなスポアン(ガジュマルの一種)の印象が強いのに対し、ベン・メリアは切り出された砂岩の崩れっぷりが、まるで巨大なアート空間に自ら入り込んで一体化しているかのような不思議な感覚にさせてくれるのです。

また別な表現をするとしたら…タ・プロームが“荒々しい自然が造りだした芸術“とするなら、ベン・メリアは“森の精霊たちの気まぐれが生み出した奇跡の芸術“のようにも見えます。

こんな美しい壊れ方があるなんて…これが神懸かりでないとしたら、一体誰の仕業だというのでしょう。

一見崩壊するに任せているように見えますが、実は絶妙なさじ加減で見守っている方々がいることを忘れてはいけません。一度見つけ出してこの世に知らしめた以上、わたしたち人類は全力でこの世界遺産を守っていく義務があるのです。

そしてベン・メリア遺跡の鑑賞を終えて改めて感じたことは、 ここが“天空の城ラピュタのモデルであろうとなかろう“と、その遺跡としての価値には何ら関係ないということです。

スペインの有名な格言『もしスペインに1日しか滞在しないなら、迷わずトレドへ行け』ではありませんが、『もしアンコール・ワットに行くなら、迷わずベン・メリアにも行け』ときょうさんは言いたいです。

特に日本の苔寺や、わびさびの文化をこよなく愛する人であるなら、この遺跡の素晴らしさを十二分に堪能することが出来るに違いないでしょう。

遺跡巡りはまだまだ続きますが、今日はこの辺で。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。

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