お待たせしました。今回はホテル宿泊者限定「雅叙園アートツアー」の様子をご紹介します。
東京の目黒にあるホテル雅叙園東京。こちらは日本で初の結婚式場であり、館内に入ると招きの大門をはじめ廊下に飾られた一枚板に彫った花魁街道 、1億円のトイレなど アート性の高い施設として以前から知られていました。
そしてわたしも百段階段企画展見学の際、その様子を見てかなり知ったつもりになっていました。しかし宿泊してみて初めてわかる魅力というものがあるのだと、今回のツアーに参加して改めて実感しました。
写真は5階フロアから見たまだ誰もいない1階の様子ですが 恐らく宿泊したことが無いと、この景色も見たことはないと思います。
これをもう少し拡大してみると、グランドピアノが置いてある付近に模様が見えます。これなんだかお分かりですか?あの日本庭園の様式の「枯山水」をモチーフとしているそうです。
「神は細部に宿る」という有名な言葉があります。 元々はドイツの美術家や建築家から生まれた言葉だそうですが、このように一見して誰も目に留めないような細部にまでこだわりが込められていることに感動すら覚えます。
この日はまず エレベーターに乗って4階の宴会場のあるフロアまで上がりました。
こちらが宴会場の入り口です。
その時の様子をご覧下さい。
ここ要は靴を脱いで上がる玄関なんですが、いつまで見ていても飽きないぐらい凝った装飾が施されてました。
はい、ここが宴会場です。と言いたいところですが、ここは所謂ロビーでして、、、どこをみても芸術的な作品があるので、ここでお茶してもいいぐらいですよね。
この女の人の髪の毛何で作られているか分かります?
なんとこれは、馬の毛なんですって。
そしてここは中宴会場「竹林」です。今まさに宴会の準備中です。壁の上のほうに雅叙園のシンボル「孔雀」が描かれています。
この画像どこかで見たことありませんか?
実はこれ「千と千尋の神隠し」のある場面に登場しています。実際スタジオジブリの方々が見学にいらしてたくさん撮影やスケッチをしていったそうです。
こちらの宴会場ですが MISIAさんの『逢いたくていま』のMV撮影にも使用されています。
途中に違う部屋も出てきますが、そちらはこのあと紹介する小宴会場「牛若」です。
『葡萄』は大きな実をたっぷり実らせ、一方『栗鼠』は子だくさんの動物。幸せの象徴として、中国を中心とした東アジア地域では工芸品のデザインとしてよく使われています。
また日本においては武家社会時代の影響もあり、武家の人々は『葡萄』を『武道』、『栗鼠』を『律す』と読み替え、『武道を律す』と、語呂合わせで、縁起を担いで親しんでいました。
次にエレベーターに乗って5階の婚礼フロアまで上がりました。
こちらは 婚礼が行われる神殿への廊下です。
ここもただ通過してしまうのはもったいないです。天井を見上げれば 天井画があります。これは 1階にある壁画と製作された時期はほぼ同じとのことですが 人の手が触れないこともあって 綺麗なまま残されています。
また自然光が障子超しに入り込んできていますが この障子に施された組子細工が素晴らしいのです。
螺鈿(らでん)細工のスズメの群れは、「瑞兆」という作品です。
スズメは群れで一緒に行動する様子から、子孫繁栄、家内安全など幸福を運ぶと言われています。
このように至るところに縁起の良い装飾が施されてます。
はあ。流してみればそうでもないかもしれませんが、わたしは相当疲れました。
博物館や美術館にいくとそうであるように、作品ひとつひとつが、ディテールにこだわり丁寧に作られていて、作者の強い思いが込められた魂の熱量そのものを感じてしまうからだと思います。ということで、無駄に出し惜しみする意図は全くありませんが、本日はここまでとさせていただきます。
次回は、2ヶ所ある神殿の模様、1階のレストランの個室の解説をさせていただく予定です。
よく何者かに圧倒された時、「目も眩むような〜」なんて表現を使いますが、今回のツアーはまさに目も眩むような作品を一度に見ることが許されたまたとない機会だったのかもしれません。
このような感覚に陥ったのは、バルセロナで、ガウディの初期の作品『グエル邸』を見学して以来のことです。
あれも一軒の邸宅に、当時大富豪だったグエル氏がお金に糸目をつけず、これまたガウディという稀代の天才建築家が設計し、そして当時の最高の職人たちがその持てる力と技、全てを結集して作られた2度とない奇跡の賜物でした。
まさに生きているうちにこの作品たちをみることが出来て良かったと言える、、、そんな素晴らしい美術工芸品が、ホテル雅叙園東京にあるなんて、、、わたしは今まで何を見てきたのだろうと自分を顧みずにはいられなくなりました。
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