楽しい時間はあっという間に過ぎてしまう。名建築の大阪編も早いものでもう3話目。
今回は船場ビルディング。
この建物、外観は簡素だが、ひとたび中に足を踏み入れると、機能性、構造性、装飾性に富んだ試みが随所に見受けられる。特に玄関ホールはスロープ状で、建築当時トラックや荷馬車を引き込むのに大変便利な設計となっており、床一面に敷き詰められた木レンガは消音効果も兼ねている。
そしてその中でも、わたしがとりわけ心を惹かれたのが、緑溢れる開放的なパティオ(中庭)。
きっとこの空間に訪れたとしたら中世のヨーロッパにタイムスリップしたかのようなそんな夢見心地な気分になれそうだ。
パティオとは、、、スペイン語で中庭の意味。 元々は夏期に摂氏40度を超える猛暑となるスペイン南部のアンダルシア地方で生まれた中庭のことだ。
噴水や井戸、それを取り囲む花々で飾られたオープンスペースで、中庭の周りの住人や路地を行く人たちがちょっと涼を得ようと立ち止まり、また花を観賞したり、井戸端会議に花を咲かせる場所だった。
スペイン・グラナダのアルハンブラ宮殿内にある「パラドール・デ・グラナダ」に泊まった時、このパティオがとても美しかった。
スペインにおけるパラドールとは、その運営にスペイン政府が関わっているいわば国営ホテルのようなもので、パラドールの建物自体やロケーションは、スペイン国家の重要財産レベル。
このアルハンブラ宮殿内にあるパラドールの中庭を歩いたことは、おそらく一生の思い出になるに違いない。
スペインを旅をするなら、是非一度はこのパラドールに泊まることをお勧めしたい。
食事はテラスで夏の別荘である壮大な「ヘネラリフェ」の景色を眺めながら、開放的な雰囲気の中でいただくことが出来る。
メニューは朝食はビュッフェ方式で、スペインらしく美味しそうなイベリコ豚の生ハムやサラミ、ソーセージを始め、トマトスープの「ガスパチョ」やポテトのオムレツ「トルティーリャ」なども並びバラエティ豊富。
そしてディナーで食べたアンダルシア地方の料理が本当に美味しくて、次生まれ変わるとしたら、スペイン人になりたいと思ったぐらいだった。
アルハンブラ宮殿全体の見学はかなりの時間を要する。パラドールから主要な宮殿までは徒歩圏内なので、疲れたら一旦客室に戻って一休みしたり、帰りの時間を気にせずのんびりできるのは宿泊客だけに許された特典。
アルハンブラを訪れたら宮殿の観光ももちろんのこと、世界遺産の中に宿泊するという優雅な時間を満喫できる「パラドール・デ・グラナダ」は、パラドールの中でもかなり人気があるので、宿泊予約はできるかぎり早めにする必要がある。
そんなこともあり、船場ビルディングのパティオの映像が流れたとき、とても懐かしい気持ちになった。
日本国内にもこのようなパラドールのパティオを彷彿とさせるような建物があることに驚いた。
そしてこちらの建物、今なお現役で使用されているということがとても意義あることに感じられた。
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