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【神戸北野異人館巡り】うろこの家&展望ギャラリー

ホテルで『世界一の朝食』を堪能したあと、異人館巡りが初めてのわたしは、荷物をまとめ…ゆるゆるとチェックアウトの支度に取り掛かる。

ママ友は以前、職場の仲間とルミナリエ観覧のついでに訪れたことがあるので、『雨が酷ければ、うろこの家はパスして、もう一度ジャグジーに入るのもいいかなぁ』などと言っていたのだが、雨の勢いが弱まってきたので、やはり一緒に行きたいとのこと。

ということで、11時のチェックアウトまでまだ1時間くらい余裕があるが、10時の開館時間に合わせて出発することにした。もちろん荷物はクロークに預けて。

じゃーん♪この写真だけ見るとなんてことはないが、今日は“CLOSED ”の文字は無いので、ほっとひと一安心。

そして、チケット売り場で、平日限定4館パス(@2200円)を購入。単館券での購入より700円もお得。ってことで最悪時間が無くなって1つぐらいスキップしても大勢に影響はなさそう。

神戸で最初に公開された代表的な異人館であるうろこの家は、国指定登録有形文化財、兵庫県指定住宅百選の館。

ヨーロッパの古城のような外壁を覆う天然石のスレートが魚のうろこに形状が似ていることから、うろこの家と呼ばれるように。

館内には重厚なアンティーク家具や調度品、ロイヤル・コペンハーゲンやマイセン、ティファニーなど陶磁器が多数展示されている。隣接する展望ギャラリーは美術館になっており、名画やガラス工芸品はもとより、3階の展望室からは神戸の港と街並みが一望できる。

敷地内に足を踏み入れると、早速パワースポットが見えてくる。この『ポルチェリーノの猪』、鼻を撫でると幸せに恵まれるのだという。

ボルチェリーノの猪

休日日中ともなれば、像の前には行列が出来たりしそうだが、本日は雨が降ったり止んだりの平日の午前中なので、鼻を思う存分に撫でまわし最高の幸せに恵まれるであろう。

?あ、どこかでみたことがあると思ったら、フィレンツェの新市場の脇にあるオリジナルを触っていたことを思い出した。

館内に入りさまざまな家具や調度品を眺めていると、なんだかとても懐かしい気持ちになった。これは亡き姑の部屋の設えそのもののようだったから。

彼女は六十の手習でヨーロピアンチャイナペインティングを習っていて、そのモチーフとなる絵の見本がマイセンやロイヤルコペンハーゲン、ウェッジウッド等だった。

しかも六十の手習とは思えないぐらいの作品の出来映えは素晴らしく、教室の展示会などに出品した作品はそこそこの値段で売れていたという。

今も彼女がいた部屋には、その頃の作品がいくつか残されている。

そして、今目の前にあるのは、それらの見本となった正真正銘のホンモノたち。これはもう心が踊らない訳がない。

人によって違うかもしれないが、わたしはもう半世紀以上生きていることもあって、だんだんと所有欲というものから解放されつつある。だがそれと反比例するかの如く、美しいモノを出来るだけ多くこの目に焼きつけたい衝動に突き動かされる。

姑はいわゆるいいとこのお嬢様だった。それも小金持ちとかいうレベルではなく、まさにこの館のようなお屋敷に住んでいたらしい。

館内を歩きながら、娘時代の姑のお宅訪問をしているような妄想に包まれていった。

ご多分に漏れず嫁姑のさまざまな問題があり、とてもいい関係を築いていたとは言い難い間柄であったが、そんな彼女の娘時代にタイムスリップしたような親しみを感じた。

ふとそんな思いをママ友に告げると、『わたしもそうだけど、そうやって故人のことを思い出すと、本人はとても喜んでくれるらしいよ』と教えてくれた。

そして、思い出すと同時に、嫁姑を超えた人と人との縁(えにし)のような、今そこで素晴らしい仕立てのドレスを身に纏い、穏やかで満ち足りた日常をすごす家族の風景がモノクロの映像で流れているのだ。

今回1番印象に残ったのがこの絵。

アナベルの像/ベルナール・ブッフェ
ニースの花/アンリ・マティス

傘をさしながら急な坂道を登りここまで来た甲斐があった。

きっとわたしたちが出会ったのは、姑たちが生きた時代の原風景なのだ。

なんだかとても胸が一杯になってきたので今日はこの辺で。

まだまだ旅はつづく。

今日もお読みいただき、ありがとうございます。

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